あなたは日経新聞で、木曜日のマーケット欄をご覧になったことがありますか?
毎週木曜日、そこには古紙相場が掲載されています。
ご存知かもしれませんが、古紙は相場で売買されています。もちろん、機密文書も。
えっ?機密文書は何か特別な相場があるのかって?
いやいや、単なる古紙としての価値しかありません。
もし、情報価値で売買されているとしたら、それは古紙市場ではなくて、・・・
処理業者にとって、機密文書は本当に機密なのか?
前回は、「機密文書といえども、古紙は古紙」 したがって、
「取扱が特別な古紙ではあるものの、やはり古紙の物流の中にある」
というお話をしました。
今回は、業者に回収された機密文書がたどっていく
「古紙の流れ」 について、知識を分かち合いたいと思います。
古紙というものが、
どういう存在で、どう取引され、どう流れていくのか?
その仕組みを理解することは、
「あなたの機密文書が、どこで、どう処理されているのか?」
という真実へ、直につながります。
そこでまず、機密文書すなわちオフィス古紙についての
一番基本となる流れについて説明いたします。
登場する役者は、以下の4人です。
① 企業 (お客様)
② 回収業者 (製紙原料商)
③ 問屋 (古紙問屋)
④ メーカー (製紙メーカー)
話は昭和の時代になりますが、実は、古紙というのは、
おそらく皆さんが予想している以上に、高価な価格で取引されていました。
ですから、ちり紙交換も全盛期で、昔はよく見かけたわけです。
その頃は、業者がわざわざ回収するに値するものだったのです。
それではここでクエスチョンです。
古紙物流の出発点について。
戦後からしばらくの間、回収業者は、どうやって企業から古紙を集めていたでしょうか?
答え。
実は、回収業者は企業にお金 (仕入代金) を支払って、古紙を購入していたのです。
そして、回収業者は、企業から仕入れた古紙を分別し、再利用できる状態に整理します。
当時はまだ、環境問題やリサイクルなどという意識は社会に根付いていません。
したがって、企業から回収した古紙は、ゴミ混じりでグチャグチャ。
とてもじゃありませんが、そのまま古紙として再利用できる状態ではなかったのです。
したがって、この分別作業によって、古紙の価値が高まり、やっと商品として販売できるのです。
別の角度から言えば、回収業者がいるからこそ、古紙は再利用可能な状態に整理されるわけで、
回収業者は、回収だけでなく、分別という非常に大切な役割を担っていることになります。
次に、きれいに分別された古紙は、回収業者から問屋に販売されます。
古紙は 「1キロ ○円」 という価格で売買されます。
回収業者は、古紙を1円でも高く購入してくれる問屋を探します。
古紙は紙製品の原材料となるので、
問屋は集めた古紙を、海外へ輸出したり、国内の製紙メーカーへ販売するのです。
相場に基づいて取引されるものですから、
問屋は、回収業者から安く仕入れて、それを必要とする先へ高く販売する。
このサヤが利益になります。
問屋は相場を見極めるために、自社の倉庫で古紙を在庫として保管します。
保管期間は場合によって、半年近くになることもあります。
えっ、機密文書も?と思われるかもしれません。
もちろん、個人情報保護法の施行に伴って、業界の意識も変わりつつありますし、
これから詳しく説明いたしますが、新しい流れというものも出てきております。
しかし、想像してみてください。
回収業者は、回収作業と分別作業で、
問屋は、在庫の管理と物流で、
製紙メーカーの現場は、生産作業で、毎日みんな忙しいのです。
紙の塊はそこらじゅうにゴロゴロしています。
倉庫に山積みとなっている古紙は、日常風景です。
古紙は、床にも地面にも大量に散らばっています。
だって、単なる原材料に過ぎないのですから。
なんでもない古紙と、大切な情報が記載されている古紙。
忙しい中、いちいち気にしていられるでしょうか?
機密文書というものに対するリスクは認識していても、
今までの取扱を改め、「これは特別だ」 という認識の下に行動できるでしょうか?
たとえば、意識改革は進んでも設備投資が必要となり、安全なシステムを構築できない場合もあります。
社員教育をして本人たちは意識改革したつもりでも、世間のリスク認識レベルから見ると、
全く不十分な場合もあります。
何十年と 「古紙は商品・原材料」 としか見ていなかった業界です。
やはり多くの場合、「機密文書」 といっても、業者にとっては 「商品・原材料」
という取扱いが残っているのです。
繰り返しになりますが、
「機密文書も古紙である以上、基本的にはこのような流れの中にある」ということです。
次回は製紙メーカーへの搬入についてです。
溶解処理を中心とする、新しい物流についてもお話していきたいと思います。
機密文書は、本当に特別な書類なのか?
処理業者は、どこまで特別な取扱を意識しているのか?
このテーマについて、古くから業界に携わる一業者として、
知識を分かち合いたいと思います。
大きなテーマですから、何回かのシリーズになると思いますが、
時々執筆していきますので、お付き合いください。
前文で 「業界」 と言いましたが、
実は、この 「業界」 が、そもそもどこの業界を意味するのか?
ということ自体、最近ではかなりあいまいになってきています。
機密文書は、当然 「オフィス古紙」 であり、リサイクルの対象です。
したがって、ひと昔前までは、機密文書であろうと古紙ですから、
回収を行うのは、いわゆる 「古紙回収業者」、すなわち 「製紙原料商」 の
業者しかいませんでした。
ですから、「業界」 と言えば、それは古紙回収業 / 製紙原料商を意味したのです。
しかし現在、その意味は大きく変化していると思われます。
お客様の立場では、機密文書の回収に来る業者のことを、
「古紙回収業者」 というよりは、「機密文書廃棄業者」 として
見ているのではないでしょうか?
個人情報保護法の施行に伴い、古紙、いや、機密文書を回収し、その処理を
請け負う企業は、どんどん増えています。
現在、機密文書の回収処理を行っているのは、もはや古紙回収業者だけではありません。
廃棄物取扱業者も、運送業者も、倉庫業者も、文具業者も、あらゆる業界からライバルが
参入してきました。
したがって、ひと言で 「業界」 といっても、
もともとは何をやっている会社なのか?
本業は何をやっている会社なのか?
その実態はバラバラなのです。
ただし、その中で一つだけ変わらない事実があります。
それは機密文書といえども、古紙は古紙である。
ということです。
きわめて特別な取扱をしなくてはならない書類ですが、古紙は古紙です。
そう、古紙市場で取引される対象であり、紙製品の原材料に過ぎないということです。
ですから、どの業者が取扱っても、物流の流れは大きく変わるわけではありません。
最も安全確実な機密文書の処理を考える上で、非常に大切なポイントは、
機密文書も、その古紙の物流の中にあるという事実を理解することです。
そこで次回は、「一般的な古紙の物流」 についてお話したいと思います。